サンドブラストについて

1. サンドブラストとは

サンドブラストとは、コンプレッサーで圧縮された空気を用いて、細かな砂(研磨材)を勢いよく吹き付けてガラス表面を削る技法です。
削られた部分はすりガラス状となり、モチーフや絵柄として表現されます。
絵柄にしたい部分にはマスキング(砂が当たらないように覆う処理)を施し、
砂を当てる場所・当てない場所をつくることで絵柄を表現します。

当工房では、
生地の種類(色付きの切子用の硝子、クリア(透明)、ガラスの厚み)等を見極め、様々なサンドブラストガラス表現をしております。
単純な名入れ作業から、彫刻的作品まで幅広く製作が可能です。

2. 当工房の技法とこだわり

鶴の羽1枚1枚重ね彫りしています

段彫り(重ね彫り)

一般的なサンドブラストは一度砂を吹き付けて終わる「単彫り」が主流ですが、
当工房ではモチーフの重なりや濃淡を表現する“段彫り”という技法を採用しています。
例えば、桜の花びらを一枚ずつ順にマスキングを剥がしては吹き付ける工程を重ねることで、奥行きや陰影を演出します。

また、ぼかし(グラデーション)表現を加えることで、硬質になりすぎず、柔らかな風合いを感じられる仕上げをめざしています。
一般的なサンドブラストの模様のつけかたと、彫刻的硝子の彫り方を比べてみました。

なぜ2色になるか? 被せガラス(色ガラス)への彫刻

色のあるガラスには、表層と内層で異なる色を重ねた「被せガラス(きせがらす)」を使用。
表層を彫ることで、下層の色が浮かび上がります。


この色の層構造が、塗装や着色とは異なる、ガラスそのものの色彩の深みと耐久性をもたらします。
※ガラスそのもの色とは、赤色なら銅元素、ピンクなら金元素を溶かし込み、「化学反応」で色を生み出す本格的な技法です。

ガラスそのものの色味なので、ペイントのようにはがれてなくなることは永久にありません。

透明ガラスへの彫刻も

無色透明なガラスにも彫刻しています。
クリアのガラスは、サンドブラスト加工をすると白っぽいすりガラス状になります。

名入れや量産品で一般的に制作されるときは、砂をかけるサンドブラスト作業を「1回」で終わります。
モチーフの間にすき間をあけてデザインするのが一般的です。
量産や名入れはこの技法を使います。(写真左)
(下の写真は一般的なサンドブラスト技法)

当工房での彫刻的な作品作りには、
無色透明なガラスに対しても、段彫り・透かし彫り・反転彫りなど様々な技法を使い分け、モチーフや背景を調整。
白っぽいすりガラスの表現だけで、花びらの重なりなどを丁寧に作りこんでいきます。
薄手のグラスと厚手のガラスでは砂圧や当て方を変え、多彩な表現を可能にしています。
全体的なバランスを見ながら、彫るグラスに合わせて、表、裏、厚みを見極めてデザインしています。

※透明ガラス彫刻は、市販のグラスに制作できます。
気に入ったグラスに彫ってほしい、数をまとめてほしい時などお気軽にご相談ください。

3. 制作の流れ(概要)【工事中・・・】

  1. モチーフ選定・デザイン調整
     ガラスの形状やサイズに応じて、絵柄の配置を最適化します。

  1. マスキングシート作成
     彫刻線、文字または模様用に、PCカットや手作業でシートを作成。

  1. マスキング貼り・養生
     ガラス表面に慎重にシートを貼り、彫る部分と残す部分を確定します。

  1. サンドブラスト作業
     空気圧・砂量を調整しながら、段彫りやぼかしを駆使して彫っていきます。

  1. 手磨き仕上げ
     彫った面を丁寧に手磨きし、すりガラス調の質感を際立たせます。

  1. 包装・ラッピング
     作品は一点ずつ丁寧に包装。ギフト用途にも対応できるよう、資材選びにも心を配っています。

4. 想いとアートとしての表現

ガラスは光を通し、影を映し出す詩的な本質を持っています。


サンドブラストを通して、ただ「模様を彫る」だけでなく、個性豊かたガラスと向き合い、時間と光を閉じ込めるアートを追求しています。
お客様の「記憶」「想い」「願い」を、ガラスという素材を通して美しく柔らかく表現したい――そんな思いで、一作品ずつ心を込めて制作しています。

また、日本でガラスを生産している工場は、現在数社になってしまったということを知り、
たとえ、数十個でも、国内硝子工芸事業に携わり頑張っている職人さん、工場さんの継続的支援にも貢献していきたいと強く思います。

私は、日本の職人さんが製作しているガラス生地をなるべく使うことにこだわり、
手作りの良さを感じていただきたいと思い、ALL”made in Japan” の作品作りを志しています。


おまけ: 段彫り、南天の制作の様子のご紹介

当工房で制作に使う技法(段彫り)は、重なりの数だけ砂をかけなおします。

例えば、5枚の花びらの桜を彫る場合は、
1枚砂をかけて、
マスキングシートの花びらを1枚はがし、
砂をかけ、
隣の一枚をはがし…

を繰り返して制作します。

また、砂をかける際に柔らかなぼかし(グラデーション)を出す技法をいれることで、より風合いよく仕上がります。

南天は、上下の重なりを意識して、順番に彫っています。
グラデーションは砂をかけて削る量を目視で確認しながら掘り進めます。
色ガラスの色味を数ナノミリのこして削り落とすのがポイントです。

作品づくりの流れをご紹介します【工事中・・・】

①彫る絵柄を決定。

ガラス生地に合わせて大きさ、配置などを調整する

②マスキングシートをつくる

彫り方によって、マスキングシートの種類を変えています。

文字入れや正確な線が必要な時は、PCでデータをつくり、マシンを使ってカットします。

植物や花は、手作業の方が味わいが出ることも多く、1つずつデザインカッターでカットします。

③はりつけて、カット

通常、貼り付け面がまっすぐな(側面がストレートのロックグラスなど)平面のシートが貼り付けやすいものをつかいます。

しかし私は、丸みを帯びた、フォルムの美しいグラスが好きなので、貼り付け面が湾曲した生地が多くなり、マスキングシートの貼り付けやカットにも、一工夫必要になります。

※サンドブラスト作業よりも、このマスキングの下準備の方が倍以上の時間がかかります。

④サンドブラスト作業

いよいよサンドブラスト開始。

彫刻ガラスに適した専用の機材を導入しています。

★空気を圧縮するコンプレッサー、砂を吹き付け、圧を調節する専用タンク、ガラスの粉塵を回収する集塵機、など専用機材を使っています。

-被せガラスに彫る

2層になったガラスの表層を削り落とし、内側の(クリア=すりガラス調の白になる)を彫りだしていきます。

ぼかしや重ねを多用した「段彫り」という手法で彫ります。

すき間のない、自然な絵柄を作ることが出来ます。

⑤磨き

1点ずつ手磨きで仕上げます。

すりガラスのマットな質感がお楽しみいただけます。

⑤ラッピングにもこだわってお送りします

贈り物に多くご利用いただいております。ラッピングにもこだわって、包装、リボン、オーナメント、シールなどギフトシーンに合わせて資材を変えてお包みしています。

「お誕生日に」「退職祝いに」「還暦で」「結婚祝いで」などお気軽に、注文時にお知らせください。